いつ、どのように人生が動き出すか、予測するのはとても難しいことです。
人が羨むような、天才的なサッカーの才能をもつ子どもたちを指導してきました。
若い世代の日本代表に選出され、将来を期待されていた子もたくさんいました。
でも、彼らのほとんどはサッカー選手になれませんでした。
なかなか芽が出ない子もいるし、才能が認められず若くしてサッカー人生を終える子もたくさんいます。
努力しても空回りするばかりで、みんなに迷惑をかけっぱなしの子もたくさんいました。
でもそんな中から、サッカー選手になる夢を叶え、日本代表になった子もいます。
しかしその子がまだ若かった頃、そんな姿になると誰が予測していたでしょうか。
誰もです。
あらためて指導者のみなさんへ伝えます。
はやくから、子どもの能力を決めつけないでいただきたい。
どれだけ多くの子どもが、今なお指導者の篩にかけられ、夢を奪われていることか。
しかもその現実は、加速しつつあります。
正直に言います。私も過去、子どもを篩にかけ続けてきました。
その数は、10や20ではありません。
まだ、何も知らない幼い年齢の子にさえ、そうしてきました。
子どもの夢より、親の想いより、自分の利益を優先してきたことは、今でも私の頭を悩ませ続けています。
楽しさが努力への第一歩
勝つとか、結果を出すとか、上手いとか下手とかじゃないんです。
まずはみんながサッカーを楽しんで好きになって、すこしでも上手になれるような環境をつくってあげてください。
そして、勇気づけてあげてください。
それだけで十分です。
プロサッカー選手。
彼らはサッカーを始めた時から、プロサッカー選手だったわけではありません。
もっと言えば、全員が初心者でした。
ボールを足で蹴るのが楽しくて、みんなと一緒にボールを追いかけて育ちました。
そんな幼い時代を通りすぎて、いろんな道を辿ってその場にたどり着いたのでしょう。
だから、彼らの成長の記録とおなじように、子どもの成長には時間が必要です。
あと少しだけでいいです。子どもたちに時間を与えてあげてください。
経験も意思も未熟な幼い子どもたちを、篩にかけることは、もう終わりにしましょう。
どんな子に、どのような形でその時がやって来るかは、ほんとうに誰にも予測できないことなんです。